敷地は、京都府南部、宇治川から炭山に続く幹線道路の山裾に位置するふもとに位置する。奥まった敷地であるため、北側道路からは専用通路をよぎなくされ、前面道路への開放性はなく、専用通路は西側隣地と共用として利用されている。しかし敷地の南側は、急勾配の山手を隔て宇治川に注がれる堂の川上流に面し、樹齢40年を超えるヒノキが生息し、密集した住宅街を忘れさせるような、静けさが魅力の場所でもあった。
平面計画は、1階にLDK、2階に寝室となる1LDKで構成した。
この建物は南北に大きな開口を持ち、それぞれが吹き抜けのテラスに面している、そしてこのテラスの壁面は、1階リビングに置いて半透明のスクリーンで囲まれ、内部と外部の関係を緩和する中間域の空間となり、南側の山手から季節を通して時間の経過と共に光と、小川から流れるせせらぎやそよ風を室内に取り入れることができる。
この建物は、敷地の持つ特異性によって、都市型住宅の持つ閉鎖性を持ちながらも、外部の周辺環境を意識させることなく、閉鎖と開放との両義性を兼ね備えた住宅となった。