京都市内中心部にほど近いビルの地下に計画された和風創作料理店である。
今回の計画では、躯体に仕上げ材を取付けるという、従来の「内装」という概念ではなく、自立したヴォリュームを地下に挿入することで新たな空間をつくるという手法を試みた。
まず、スケルトンの状態で躯体内法寸法、柱・梁型の位置、大きさにより挿入されるヴォリュームが決定される。
躯体内にフレームを自立させる。このフレームは50×26の角パイプを加工したもので、2種類の半径を用いて躯体に内接する形態とし、最大限のヴォリュームを確保する。
フレームに開口率50%の間隔でスギ材を取付ける。線を並べることで、それらが床・壁・天井の境無く連続する面となり、内部空間を生み出す。スギ材は全て30×50の断面で長さ4mの同一規格とすることで、連続性を強調するとともに、加工が容易となり、工期短縮、精度向上、コスト低減のメリットが得られる。
内部において「木材」そのものの持つやわらかさと、角が無く緩やかに連続しおりなす曲面と、スリットより和紙を介してもれる光のあたたかさが包み込み、「木」という日本古来の材料を用いながら、優しさで溢れる新しい空間が生まれた。