滋賀県大津市、琵琶湖のほとりにある15坪の狭小敷地に、夫婦と子供一人の三人家族を対象として計画した事務所併用住宅である。地上3階、地下1階のボリュームを持ち、地階に収納、1階にオフィス、2階に寝室、3階にLDKを配置しているが、単に個々の室を積み重ねるのではなく、一枚の紙を折り曲げたようなフレームによって空間を構成することで、ワークスペースと居住スペースを明快に分離している。そして西側に設けた外階段が地階から3階を縦につなぎ、また東西方向に視線の抜けが生まれることで、外部との連続性が感じられる豊かな空間をつくりだしている。
敷地は、滋賀県大津市、歴史的文化の香る旧街道と新たな幹線道路との狭間の住宅地に位置する。変則的な形状をした15坪の敷地は、異なる時代背景に形成された開発の波に浸食されてできた、いわば三角州のような土地である。

敷地に交錯する2つの軸線がもつ方向性をそのまま建物の輪郭に置き換え、ここに住みつづけるという意志が込められている。地階は物入、1階はアトリエ、2階は寝室、3階はLDKと配置しているが、単純に4つの箱を積み重ねるのではなく、折り紙のように一枚の紙を折り曲げることによってできる空間は、それぞれの空間どうしのつながりを持つ。

一本の線を描くシルエットは、地域環境を受け止めながら、ここで生活する家族を包み込むという意識を、街路へと発信している。