京都府舞鶴市の郊外に位置する、若い夫婦と幼い子供3人のための住宅である。ローコストの実現と、家中どこにいても家族の気配が感じられ、今後予想されるライフスタイルの変化に柔軟に対応できる様、フレキシブルなワンボックス空間を提案している。

この住宅では、機械設備に頼るのではなく、適度な設備の配置と、ワンボックスの空間を、浮かす・切り取る・くりぬく操作により、自然のエネルギーを最大限活かす工夫とで、快適性とともに経済性にも配慮している。

具体的には、高床式(浮かす)とすることで生まれる床下収納空間が空気層となり、床暖房とあいまって冬の冷え込みを和らげている。また、開口を広さではなく距離で確保した水平窓(切り取る)と、2階に配置した外部テラス(くりぬく)が、一日を通じて、その表情を変えながら十分な光と風を導きいれることで、冷暖房負荷の低減を目指している。

□ デザインへの貢献

必要最小限のシンプルな架構によって構造の制約から解放されることで、ダイナミックな空間構成と、自由な立面デザインを可能にしている。この建物では、幅いっぱいに細長く伸びる水平窓を上下に設け、室内に入る光を面積でなく距離で稼ぐことで、内部空間に水平方向への伸びが生まれるとともに、メリハリのある光のラインが差し込む。この水平窓と併せて、非構造空間となることで自由になった大空間を吹抜けとし、キャンチスラブ上に配置することで、地面から解放されたような軽快感のある内部空間を生み出している。